2014年6月16日月曜日

ゴンとの日々

一ヶ月程前にガリガリの野犬の姿をこの周辺で見かけた。
野犬を目にするのも数年振りで珍しかった。
数日後、私達がこの野山に居住しているのを感じて、夜になると遠吠えをしていたのが、後になって分かったゴンであった。どういう事情でこの野山に辿り着いたのか、首輪をしていた飼い犬であったのは、誰かに飼われて帰れなくなった運命を持っていたのであろう。

このゴンの生い立ち、これほど人懐こい性質は、可愛がられたに違いないと思う。
汚れて小さい首輪は新しい青い首輪と付け替えた。
薄汚れた体は、風呂場でシャンプーしてもらい奇麗になったが、土をほじくったり、顔をこすりつけたりすぐ汚れる。
人に危害を加えるような性質ではなく、シャンプーの15分間ほど、バスタブの縁に前足を掛け、最後まで大人しく洗われるのを待ち、一度も途中で体を振り払う行動も起こさない良い犬である。
餌を貰える様になって、半月ばかり、やっとむき出しだった肋骨の当たりも肉が付いて来たのではないか。
このゴンの前の持ち主が迷子にさせたものなら、返す気持ちで飼っているもので、ゴンのストレスの掛からない自然な生き方をさせてやりたい。我々の側が鬱陶しいと感じたら、何時でも自由に自然界へ帰れるのである。

週明け、動物病院へ連れて行く予定。
予防注射等このゴンの為に処置をしてやりたい。

週末、腹立たしい事があった。
結構、寛容の気持ちは持っているが、許せない事は、名誉の為にも自尊の為にも、金輪際許容出来ないことがある。

携帯電話が鳴り、知らぬ男から、犬を飼っているか、首輪にGONと電話番号があり、犬を捕まえているという内容。
犬を離してそれでも飼い主かという失礼な物言い。

登山道へでもゴンが出て、週末で登山者に捕まったものと思い、時雨の中、外へ出ると、隣に大勢の人がバーベキューをしに参集、その人々が気になってゴンが近づき運悪く、捕まったのである。運が悪いとしか言いようがない。
その内の輩が偉そうに、放し飼いをするのは犬を飼う資格がない!みたいな言い草をしたのである。

私の人生観で自分の考え方はそうであっても、夫々個人の事情があろうし、無礼にも人に向ってその言葉を発するかという人間性を疑ったのである。

其奴に直接迷惑を掛けたのなら申し訳ないが、人の顔を見て飼う資格がないとはよくも言ったものである。
隣の知人かも知れないが、非常識な三国人みたいであった。
疫病の様な貧相の漂う雰囲気の男で、よからぬことが起りそうな印象を受けた。
そういう事情でこのゴンは変わる事なく自由に放し飼いを堂々とする。文句があるのなら、受けて立つが三倍にして返すつもりである。心情を述べなければ収まらない。

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